【密着レポート】プロの演奏家が中古ピアノを選んだ理由とは

佐藤恵01

今回取材にご協力いただいた佐藤恵さんは、桐朋学園短期大学(音楽専攻ピアノ専修)を卒業後、プロとして活動。オペラ歌手の伴奏や南米チリでのリトミックやイベント、コンサートなど幅広く活躍されています。「ここ数年は自宅演奏環境の関係から電子ピアノを使用していた」という佐藤さんが、新たにアップライトピアノ購入を検討されているということで、そのピアノ選びの過程を取材させていただきました。

「木製鍵盤の使用や打鍵感の再現性など、最近の電子ピアノはかなり優秀で練習機としては大きな問題は感じていませんでした。ただ体重をかけて演奏したりする際の、ピアノ全体から返ってくる重さの感覚など、本当に微妙なニュアンスだけはアコースティックでないと感じ取れないものかもしれません」という佐藤さんが、ピアノ選びのポイントのひとつ目にあげるのがこちら。

POINT 1 欲張りすぎず冷静に

「どうせ買うなら良いものを、と思うのは当然。ピアノならばより音の響きが良いものと考えるでしょう。ただあまりに欲張りすぎて設置環境、演奏環境に無理をするのは後々後悔することになりかねません」

アップライトピアノで言えば、高さが高く、響板面積が大きい方が音の響きが良いというのが一般的。そのため多少無理をして大きいモデルを購入した方が良い、と考えるかもしれません。しかしそれが生活動線を制限してしまったり、小さな空間ではその音の良さが活かされなかったりと「もう少し小さくても良かった」と後悔することになりかねない、と佐藤さんは指摘します。

また「置き場所が制限されることがピアノに悪い影響を与えることも考えておく必要があります」と佐藤さんはいいます。

エアコンの吹き出し口に近かったり、窓からの日光の差し込み加減や部屋の温度・湿度によっては木材、ファブリック、金属弦といったピアノを構成する部材に悪影響を与えることにもなるからです。

「生活動線や温度・湿度などピアノを置く環境は、自ずと限定されていきます。その中で過度に無理をしないこと。小さくてもハンマーの構造など音響設計に工夫を凝らしたモデルがありますから、適切なサイズの中から好みの音を選ぶのが大切ですね」

POINT 2 可能な限り弾き比べる

「アコースティックピアノは生き物。だから必ず試弾して、タッチや音色を自身で感じとった上で選ぶ必要があります」

「同じモデルであっても微妙な個体差がある」と佐藤さんは指摘。実際に試弾することで、そのピアノの音の特性、鍵盤を押し込んだ際のレスポンスなど、弾き比べることで、「違いをしっかり認識して自分の好みに合った一台を選択するのが大切」だといいます。

「ショールームで試弾して、『同じモデルにしよう』で済ませるのではなく、できれば購入する実機を試弾されることをおすすめします。新品の場合、個体差はそんなにないとは思いますけれど、それでもカタログで選ぶのではなく、実機に触れた上でその音、弾き心地などしっかり確認して、納得して選ぶことです」

POINT 3 質の良い個体なら中古ピアノも視野に

「あくまでも良質なものという条件がつきますが、中古ピアノというのも選択肢に入れても良いと思います」

実は今回、佐藤さんは<ヤマハリニューアルピアノ>を選択肢の一つとしてピアノ選びを進めていました。<ヤマハリニューアルピアノ>は、ヤマハピアノサービスがヤマハ製中古ピアノを買取り、内外装を同社の基準に基づき整備・調整し、性能基準を満たしたものに冠される名前です。

「都内のスタジオで演奏する機会があり、そこに<ヤマハリニューアルピアノ>YC1SHがありました。音、弾き心地もとても良く、これくらいきちんと整備されているなら中古という選択肢もありかなと思いました。何よりヤマハ自らが整備・再生しているということの信頼性は大きいですよね」

ヤマハリニューアルピアノ詳細へのリンク
https://www.piano-hanbai.com/renewal_piano/

中古ピアノのメリットといえば、新品に比べ価格が安いことが挙げられます。確かにそれは大きな要素ですが、佐藤さんは「価格だけではないメリットがある」といいます。

「すでに弾き込まれてきた中古ピアノは音の丸みがあるんです。音がある程度出来上がってるというのかな。それが弾き手の好みと合致すると、すごく弾いていて気持ちが良いんですね。新品ピアノを弾き込んで育てていく作業も楽しいですが、中古ピアノの場合は弾き比べて自分に合った音、自分好みの音と出会える楽しさがあるというのかな」

自分に合ったピアノを探すため、佐藤さんはヤマハピアノサービス横浜センターで毎月開催されている『ヤマハリニューアルピアノ体験試弾会』を訪れます。

「月に一度、数十台の<ヤマハリニューアルピアノ>を自由に試弾できる催しがあるということで足を運びました。同じ場所で複数のピアノを弾き比べられる機会はそうないですからピアノ選びには貴重な場ですね。私が候補としていたYC1SHが試弾会では展示されていなかったのですが、スタッフの方に尋ねると『現在整備作業中のものがあり、後日、個別に試弾の機会を提供できる』ということで、対応していただきました」

結果的に佐藤さんはここで出会った<ヤマハリニューアルピアノ>YC1SHの購入を決定。POINT1で指摘した「サイズ的に無理がない小型モデル」であること。「ハンマーフェルトの構造など小型でありながら音響設計がしっかりしている」こと。YC1SHには「標準装備としてサイレント機能が付属している」こと。POINT2であげた弾き比べでは「軽やかで、かつ温かみのある自分好みの音色に仕上がっていた」こと。そしてPOINT3では「整備がきちんとされており、品質に安心感を感じた」ことなどが理由だといいます。

ヤマハピアノサービス体験試弾会へのリンク
https://www.piano-hanbai.com/touch/

POINT 4 信頼できるアドバイザーの意見を参考に

「多くのピアノを見ていく中で、どうしても『あれも良い』『これも良い』と迷ってしまうことが出てきます。そんな時は信頼できる人の意見を聞くことも大事ですね」

佐藤さんが最後にあげるのが「信頼できる人の声」。ピアノ教室などに通っている方なら、講師の先生のアドバイスは大きな参考になるといいます。

「弾き手が自分でも認識していないクセや演奏の特徴など、それぞれの個性を講師の方は把握しているでしょう。その認識をベースにピアノについてアドバイスしてもらいつつ、自分の好みとすり合わせていくことで選択肢を絞り込んでいくことができると思います。可能ならば試弾会などの場に同行してもらって、実機を前に意見をもらえればより的確でしょう」

POINT 1 欲張りすぎず冷静に
POINT 2 可能な限り弾き比べる
POINT 3 質の良い個体なら中古ピアノも視野に
POINT 4 信頼できるアドバイザーの意見を参考に


ピアノは一度購入すると長く付き合っていくもの。
4つのポイントを参考に、後悔のない、そして自分に合ったピアノとの出会いを!

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